インドの市民権法 改正 抑えておきたいポイント vol.513

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みなさんこんにちは!Kayoreena(@kayoreena1021)です!

今日は、2019年12月、一番インドで話題になっている「市民権法改正」についてまとめます。

 

Kayoreena
市民権法ってなに??

という人、多いのではないでしょうか。

 

Kayoreena
私も最初は良くわからなかったです。

 

ここ数日(2019年12月16日)ネットを中心にインド各地で起こっている抗議の様子が大きく取り上げられていますね。

 

 

ということで、今日はこの「インドで起こった市民権法改正について現時点で抑えておきたいポイントまとめていきたいと思います!

 

Contents

 

今回起こった市民権法改正とはなに?

The Printより画像引用

今回新しく議会で可決された法案は、パキスタンやバングラデシュ、アフガニスタンといったインド周辺のイスラム諸国で迫害され、2014年12月31日までインドに逃れてきたヒンドゥー教、シーク教、仏教、ジャイナ教、パルシス、キリスト教の少数派となる6宗教の人たちに、宗教的迫害が理由だった場合にインドの市民権を与える法案です。

今回、1955年のインド市民権法の改正を行う「2019年インド市民権法に関する改正法案」が下院、上院の両方で可決されました。

市民権の申請者は過去14年間のうち11年間インドに居住している必要がありますが、この改正で、対象6宗教においてはこの要件が11年から6年に緩和されます

 

Kayoreena
3か国からやってくるこれらの宗教に属する人々は、たとえ必要な文書がなくても、インド人になるチャンスがあります。

また、彼らがインド市民権を申請する前に、少なくとも11年間インドに滞在するための要件は5年削減されました。

そしてその6宗教の中にはイスラム教が入っていなかったのです

 

今回の法改正において反発する人たちが、インド各地で抗議デモを起こしています。現在インド全土で起こっている2種類の抗議があります。

 

反発1:北東部アッサム地方で起こった抗議

そこでインド国内で起こった抗議は、特に北東アッサム地方で大きいものでした。

 

この地域は歴史的に、イスラム教徒が多数派を占めるバングラデシュや、仏教徒が多数派のブータンと国境を接しているため、歴史的に多くの移民が流入してきています。そこで過去に起こった戦争で、近隣国家が多数の難民を生み出した際に、その難民の多くはインド北東部に移ってきました

その結果アッサム州では1970年後半から1980年前半にかけて、反移民の暴動が巻き起こるなど、元からインド北東部に住んでいた民族と移民との対立構成がより深いものになっていったのです。

 

Assam
もう、こんなに移民受け入れられないよ!これ以上移民・難民が入ってきたら、自分たちの職業が奪われたり、土地の権利剥奪などの競争がもっと過激してしまう。

2011年の国勢調査では、アッサム語を話す人がアッサム地方全体で50%を下回った。これは移民が増えすぎた影響だ。私達の民族の存在を脅かされるのは絶対に嫌だ!

Is Assam Mirroring the ‘Idea of India’ on the Citizenship Amendment Bill?より

今回の法改正で他民族にまで市民権が付与されたら、彼らが正式なインド国民として認められてしまう。それは大反対だ

 

これがアッサム地方の人達の主張です。

 

反発2:イスラム教徒内で起こった抗議

イスラム教徒
モディ首相がインドからイスラム教徒を排除するための人種差別だ!!

 

モディ首相
この法案は他国を追われたヒンズー教徒救済を主眼に置いた法案だ。1000%正しい!

それにパキスタン、アフガニスタン、バングラデシュの3カ国は、イスラム教徒が多数派を占めているので、イスラム教徒は迫害を受けるマイノリティーとみなされない。

 

イスラム教徒
BJP(モディ首相が所属する政党)は「ヒンドゥー至上主義=ヒンドゥを優位においた世界」を推進しているんだ!

モディ首相の支持層も、ヒンドゥー至上主義者だから、このような政策を進めることによってイスラム教徒を国内から排除し「ヒンドゥー教徒の国家」にしようとしているんだ!

 

さらに政府は「母国で迫害を受けている人々を救助するため」の法案であるとしながら、救助する対象を恣意的に制限していると指摘されています。

改正法案によって市民権が与えられるのはパキスタンやバングラデシュ、アフガニスタンからの移民に限られており、近隣のネパールやスリランカ、ミャンマーからの移民や難民も存在しているにもかかわらず、政府は彼らには市民権を付与しません。

 

この2つの暴動に関しては、こちらのtweetでも詳細にまとめられています!

 

改正案における暴動の様子

現地のメディア NDTVによると、市民権法に対する抗議は今日もデリーで起こったとのことです。

特に今回、ソーシャルネット上でも最も刺激的に拡散されている抗議の様子の一つに「#JamiaProtest」というものがあります。

 

先週末、デリー警察が市民権改正に抗議する人々を厳しく取り締まる中、デリーのジャミア・ミリア・イスラミア大学が、大規模な抗議の現場になった事件に関するハッシュタグです。

伝えられるところによると、デリー警察が大学構内に侵入し、催涙ガス爆発と生徒に対する暴力を行ったとのこと。デリー警察の乱暴な様子がネット上でも大きな非難を浴びています。

 

翻訳

この動画はJamiaで勉強する姉妹の友達から送られてきたものです。

なぜ警察はこのようなことをするの?私達は生徒です。私達は、敵ではない!

彼女は22歳。とても怖いです。 

 

デリー警察は、大学のキャンパスに入ったという報道を否定しましたが、ソーシャルネット上には、彼らが生徒たちに暴行を振るう姿がしっかりと映し出されていました。

こういった現地での警察の乱暴に対する抗議として、ソーシャルネット上では #JamiaProtest のハッシュタグをつけ、ボリウッド女優や有名人などがさまざまな抗議声明を発表しています。

 

 

Kayoreena
インドではソーシャルネットの影響力が大変大きく、現地の様子がこれだけ生々しく発信されている様子を見ると、事の大きさが想像できます。また今回の法改正を受け、もともとアッサム地方へ訪問予定だった安倍首相の訪問も延期となっています。

 

現在、インド各地で抗議は過激さを増す一方で、政府側からは「法律は迫害された少数派の生活を守るためのものであり、インド国民に影響はありません」という発表のみで、今後の見通しなどはたっていません。

 

Kayoreena
日本ではあまり大きく報道されていませんが、現地のメディアでは抗議のライブ中継や時系列のニュースなど、報道もヒートアップしています。現在、国内でも抗議で死者が何名か出てしまっていますが、平和に解決されることを望みます。

引き続き経過は発信していきたいと思います!

 

参考▷

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KAYO OSUMI

函館生まれ 北海道大学医学部卒。2016年9月よりインドの現地採用で就業。当時よりインドに進出する日系企業向けに、インド現地の話題やビジネスに特化した記事を合計600本以上執筆してきている。2018年1月から東京拠点に移し活動を続ける傍ら、現在は株式会社メルカリのインド人・外国籍エンジニアの就業支援。引き続きインドのマーケティング、調査、人材採用を強みとする。
Kayoreena
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