世界最大の民主主義 インドの総選挙が終わったよ  vol.502

にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へ

みなさんこんにちは!Kayoreena(@kayoreena1021)です!

 

先日、5年に1度のインドの総選挙が終わりました!

 

(ここで簡単にインドの政治の体制をお伝えすると、インドは議員内閣制を取っており(独立以来、議会制民主主義を続けている)議会は二院制/上院245議席、下院545議席。

日本でいう衆議院にあたるのが下院。下院は直接選挙で選ばれるため、上院より優位となっています。今回は下院の選挙でした!

 

今回はこの5年に1度のインド大選挙について、日本とは違うユニークな点がいろいろあるので、ダイジェスト版としていくつかのデータを振り返ってみたいと思います!

 

世界最大の総選挙 数字から見るインド選挙

今回はBBC News Japanのデータを持ってきました。インドで行われた選挙の内訳について紹介します。

まず有権者数は全土で9億人。

 

この数字は、EU、ブラジル、アメリカ、オーストラリアの人口を総計したものに匹敵します(ちなみに地図で表したものが下のものになります)

 

 

Rishabh
インド、数多すぎw

 

Kayoreena
日本の人口は2017年で1.2億人程度、有権者が1億人程度です。全く数字及びませんw

 

つまり有権者だけとっても、日本の人口の7倍以上の人が選挙に参加したのです。

 

これだけ多くの人が参加する選挙になっているため、開催期間も日本のように1日ではなく、4月11日から約1ヶ月間、開催されていました。

 

投票のブースも全土で100万個以上設けられ、選挙のために関わった人材は1000万人以上(日本の人口の約10分の1)

 

Kayoreena
たとえばヒマーチャルプラデーシュ州の雪に覆われたBara Bhangalの投票所では、126人の有権者のための投票所を設定するのに3日間、40 kmのトレッキングが必要でした。つらいw

 

そのため費用も莫大にかかっており、2016年の米国大統領選挙よりも高額な費用(65億ドル)がかかっています。予想で70億ドル程度かかると言われていました。

 

Kayoreena
人口の60%が1日3ドルで暮らすインドにおいて、一人あたりの選挙にかかる費用は8ドルになる計算です。

 

Rishabh
なんでそんなにお金かかってるんですか?

 

インドの選挙 どこにお金がかかっているの?

The Economic Timesのニュースを元に紐解くと、もっとも支出の割合を占めるのはソーシャルメディア、旅行、広告の利用であると言われていました。

 

特にソーシャルメディアの活用においては、どの候補者も非常に重要視していました。

 

Rishabh
少し話はずれますが、モディ首相はソーシャルメディアの活用が非常にうまい首相で世界的にも有名です。SNSのフォロワーは、オバマさんに次いで世界2位です。

 

 

Still, unlike in 2014, when the Internet was the domain of a small sliver of wealthy voters, social media now reaches more than 300 million Indian citizens — and that number will only keep growing. That means that its influence on electoral incomes will probably continue to expand. It is difficult to predict how this will play out in the future, but the ongoing Indian elections have made one thing clear: Despite the romantic notion that social media is a means for the small voice to speak truth to power, it is much more of a space for organized political activity. And in this space, Modi is currently king.

Social media is a key battleground in India’s elections — and Modi is currently kingより

 

【要約】2014年と比べ、インターネット(ソーシャルメディア)は今や確実にインド国民3億人以上に届く確実なツールとなっており、しかも成長し続けている。そのため、ソーシャルメディアと選挙との関係ももっと広がっていくだろう。もちろんそれが未来にどういった影響を及ぼすかは予測しにくいが、一つ言えることは、個人の小さな声を世の中に届ける魔法のようなツールとして考えられていたソーシャルメディアは、いまは組織や政治が無視できないものになっている。そして、その領域においてModiは現在キングなのだ(=モディ首相は選挙に強いと言える)

 

Kayoreena
日本においては、まだまだアナログな選挙活動が票につながりそうだけど、人口構成が違うインドに於いては(平均年齢25歳)ソーシャルメディアのようなツールのほうが確実に有効なのだろう

 

今回の選挙において、ソーシャルメディアに投資される費用は2014年の250クロールから、5000クロールに増大すると専門家に予想されました。

 

Kayoreena
クロール=1000万というインドの数字の単位。

つまり250クロールは25億ルピー。2014年と比べソーシャルメディアの費用は20倍に膨れ上がっている!

 

さらに候補者は投票者に対する贈り物も準備しなくてはいけません。カリフォルニア大学バークレー校の助教授、ジェニファー・バスセル氏の調査によると、連邦レベルのインド人政治家の90%以上が、現金、アルコール、その他の個人用品などの贈り物(場所によっては、ヤギをプレゼントしているエリアもあるとのこと)を配ることにプレッシャーを感じていると言われています。

 

支出の大部分は公に開示されていません。候補者には法定支出の上限がありますが、党は無制限の金額を使うことができます。最も大きな党BJPは2018年通じ、年間13億ルピーを支出すると宣言していました。

 

Kayoreena
インドではダミー候補者を立てるという技もあります。候補者と同じ名前の候補者を立てて、有権者を混乱させるという術です。この候補者を立てるのにも、お金がかかっています。

 

インドの選挙の結果

結論から言うと、モディ首相が所属するBJPが、2014年の総選挙での結果を上回る単独303議席、連立348議席を獲得

そして最大野党の国民会議派(INC)も議席数では若干伸長したものの、単独で52議席、連立でも98議席を獲得するにとどまり、BJPの人気を見せつける結果となりました。

 

Kayoreena
これは日印関係的にはいい結果と言えますね。日本とインド間のビジネスは、Make in Indiaによる製造業の誘致、新幹線プロジェクトITに関する協定などいろいろ動いているので、今後モディさんが任期である限り、日本とインド間の関係は良好でしょう。

 

モディ首相の政策に対する評価は賛否両論でした。

例えば現在、失業率は1970年代以降で最悪レベルにあり、特に就職先の見つからない若者が溢れているのが国内では問題になっています。マニフェストとして2000万人以上の雇用を生み出すことを約束していたものの、実際に実現できたのは800万人程度でした。更に国民の6割を占める農民からも、政策の恩恵を受けられず不満の声も上がってきています。

ただし結果として、7%を超える高い経済成長を実現し、外交や安全保障におけるアジアのリーダーとしての強いリーダーシップが国民の支持を得たのではないかなと個人的には思います。

Kayoreena
モディ首相の第2章!高額紙幣廃止を上回る政策を打ち出してくれるのでしょうか!

 

インド選挙 プチネタ番外編

ここからは番外編でインド選挙に関するいくつかのエピソードを紹介します。

選挙に行った証としての黒インク

Sukeesh
インドでは投票した人は指に黒くインクを塗ってもらいます。これは数日間取れない強力なもので、これが投票したかどうかの証になります。

 

Kayoreena
ニュースで「投票する政党間違えた男、怒りと失望で指切断」てあるけど!??!(読んでみて)

 

インドの出口調査はあてにならない?!

Kayoreena
現地で情報発信してるチャロブラのサワジに教えてもらったのだけど、インドの出口調査は「あてにならない」らしいw

日本だったら出口調査=ほぼ正確だけど、インドの人は真実を答えない人が多く(なぜ?)統計も精度が高くないため、出口調査が実際の結果と異なることが多いとのこと。

でもなんか妙に納得。確かになって笑

 

▶先週のライブで選挙についても簡単に解説してくれています!

 

初の女性投票率 男性超えの予想


2019年の選挙は女性の全体的な投票率が男性の投票率よりも高いと予想される初めての全国選挙でした。

1962年から2018年の間に、インドにおける女性投票者の投票率は27%増加し、それにより政策にも女性に関わるものが増えてきており、これは素晴らしいことです。政党は公共の場での女性の教育、健康、雇用および安全に関連する特別な福祉措置を約束するようになりました。

もちろん、これによりインドの男女格差が解決されたわけではありません。

参考:インドはWEFの男女格差指数で108位

ただし、女性の政治参加の指標では、過去と比べて良くなっていることは事実です。

 

以上、インドの総選挙に関するトピックをまとめてみました!

 

日本ではあまり大きく報じられてないかもしれませんが、今後ますますインドの世界経済への影響は大きくなってくるでしょう。そのため選挙の結果は簡単におさらいできてるといいかと思います。

 

下記、さらに詳しいことを知りたい人は読んでみてください!おすすめ日本語記事載せておきます!

 

9億人が参加する世界最大の「お祭り」が開かれていることをご存じですか

インドニュースの裏側まで詳しい貫洞 欣寛さんの記事です!インド選挙の細かい話が紹介されています。

 

有権者9億人、投票期間1ヵ月! これだけは知っておきたいインド総選挙 | 「日本人が知らないインド経済」佐藤大介  Vol.23

佐藤さんは同じ北海道出身 共同通信ニューデリー特派員としてたくさんのインド記事を発信しています。

余裕がある方は、ぜひ英語文献なども読んでみてください!

The following two tabs change content below.

KAYO OSUMI

函館生まれ 北海道大学医学部卒。2016年9月よりインドの現地採用で就業。当時よりインドに進出する日系企業向けに、インド現地の話題やビジネスに特化した記事を合計600本以上執筆してきている。2018年1月から東京拠点に移し活動を続ける傍ら、現在は株式会社メルカリのインド人・外国籍エンジニアの就業支援。引き続きインドのマーケティング、調査、人材採用を強みとする。
Kayoreena
もしこの記事が役に立ちましたら、ぜひ皆様のSNSでシェアしてください!◎