みなさんこんにちは!Kayoreena(@kayoreena1021)です!
今回のテーマは「インドのソーシャルEコマースの現状」についてです。皆さん、インドのEコマース事情と言えば、FlipkartやAmazonを想像するでしょうか。
インドも近年、急激なスマートフォン普及によりEコマースの利用が増えてきました。まだまだ伸びしろのある市場であることは確実で、今後の急速な市場の成長が期待されています。
そこで今回は、9月中旬のインド出張にて訪問させていただいたインドのソーシャルEコマースのスタートアップのお話より、インドのEコマース(特にソーシャルEコマース)についてお届けしたいと思います!
Contents
前置き:Eコマースの中のソーシャルEコマースとは
ソーシャルEコマースで有名な企業は中国のPinduoduoという企業がありますが、ここが提供しているビジネスモデルはプラットフォーム上でユーザー(一般人)が商品を紹介し、それを閲覧した人がその商品を購入できるソーシャル・ネットワークの機能とEコマースを合体した仕組みであり、それがソーシャルEコマースです。
最近では動画配信とECが組み合わされたライブコマースなどもソーシャルEコマースの仕組みの一つと言えます。
今回訪問させていただいたのは「CityMall」というソーシャルEコマースの企業になります。
Angad Kikla -CEOとDivij Goyalとの写真
2019年初頭にAngad Kikla、Divij Goyal、およびNaisheel Verdhanによって設立されたCityMallは、顧客エンゲージメントに対する独自のアプローチ(後ほど説明します!)により、投資家に非常に注目を集めています。わずか数か月で、同社は1日に50から750の注文に成長し、毎週50%ずつ成長しています。現在の成長の規模に基づいて、CityMallは今後12か月で1日あたり20,000件の注文に達する予定です。
そもそもインドのEコマース事情はどんな感じなの?
インドのEコマース市場は非常に大きなポテンシャルを持っており、数字の推移としては2000年代後半から伸び始め、2016年に300億ドルを突破。2020年には1000億ドルに達すると予測されています。これだけ市場が伸びている背景としてはスマートフォン、インターネットの普及、決済システムや法整備などのハード面が整ってきたこと、Eコマースプラットフォームの増加が挙げられます(JETRO資料参照)
2010年、1億人程度だったインターネット利用者は2015年に2億6000万人まで増加し、2022年までに5億人に達する予測がたっている。
インドのEコマース市場が伸びているのを踏まえた上で、CityMallが提供するEコマースプラットフォームは、他のプラットフォームとはどういった点が異なっているのでしょうか。
*Tier2,3についての説明は後ほど出てきます!
Peer to Peer=知り合い同士の紹介で作られるネットワーク
オンラインサービスというのは、Tier1の街に住む人達で約80%の利用率なのに対し、Tier2、Tier3になってくると60%前後にまで下がります。理由は都市部と比べるとオンラインサービスが限定的で、行き届いていない現状もありますし、スマホの普及が遅かったため、そもそもサービスの利用歴が短く慣れていないと言う現状があるからです。
そのため、オンラインサービスといえども、最初はオフラインの知り合いの紹介から参加して貰う形を取っているんです。
インドではEコマースが流行ってる!と言われてますが、実際にリーチ出来てるのはTier1の5000万人程度だそうで
Tier2,3の人たちはまだEコマースの強い習慣がないとのことそのマーケットに目をつけたCityMallは彼らのEコマースリテラシーを上げるところからビジネスモデルを作り上げた#インドメモ pic.twitter.com/gfeof1SEwy
— Kayo🚩 (@kayoreena1021) September 20, 2019
例えば、グループ購入することで価格の50%引きで購入できたり、グループのオーナーはその割引価格までコントロールできる権利を持っているんです。参加者が増えれば増えるほど、最大値引率を挙げられるレートのような仕組みも準備しています。
インドの場合、ショッピングの7割は「目的を持った買い物」なのですが、残りの3割は「インフルエンサー」などの影響を受けており、いわゆるコミュニティやグループの長になるような人は、街の人達に影響力を持ってCityMallのネットワークを広げてくれるでしょう。
・拼多多の多くの商品が、グルーポン形式での購入ができる。グル―ポン形式とは、複数のユーザーによる共同購入により、一つ当たりの商品の値段を引き下げて販売すること。
・共同購入のメンバーは、チャットアプリのWeChatで募ることができる(インドで言うWhatsApp)。友人にリンクを送り、共同購入を呼び掛けたり、送ったリンクをタップしてもらうだけでもバーゲン価格を取得できる商品もある。
・小さな都市や農村に住む中国人の多くは、物を安く買うことを重要視する。
インドのオンライン決済方法は現在も根深く現金代引き。都市部に限っても67%。田舎を足すと平均71%。
理由
・現金が最も信頼高い
・主婦層はデビットもクレジットも持ってない
・返金などのカード手続きが面倒
・気に入らなければその場で解約したいからジェトロ調査より #インドメモ pic.twitter.com/hBsh23k0jS
— Kayoreena (@kayoreena1021) October 22, 2019
仲介業者を取り除くビジネスモデル
インドではソーシャル・ネットワークサービスの利用が盛んです。たとえブランドがなくても、品質がよく高頻度で使ってもらえれば、確実に口コミとSNSで拡散されていき、必要とする人に届いていきます。
特にインドのユーザーが多いWhatsAppをプラットフォームとすることで、ユーザーの日常行動に自然と入り込むことができ、かなり効果が高いです。
そのためAmazonなどは大量買付・低価格・薄利多売でのやり方になりがちなので、そことは大きな差別化が図れています。
Tier1の街のほうが人口が多く街全体が発展しています。2,3の層はもう少し田舎です。
2016年頃のJIOの無料キャンペーンがきっかけで、Tier2,Tier3の街にもスマートフォンがここ数年で普及してきました。そのため、少しずつオンラインサービスの利用も増えてきています。
Tier 1都市の特徴: 多くの大企業はTier1都市に本社を構える。Tier1都市は市場経済の中心地。日系企業があるのもほぼTier1。
〔課題〕好景気の際、大規模な投資ブームが起きると、急激な投資がTier1都市に集中。
これが住宅用および商業用不動産の需要増に起因する都市の過密化を創り出す。#インドメモ— Kayoreena (@kayoreena1021) October 20, 2019
Tier2の特徴
人材のハブ
国内における優秀な人材輩出のハブコスト競争力
Tier2都市の生計費はTier1と比べ 15~40%低い。人口
Tier1都市への移住希望が少なく、都市に比べると人口減少の割合が小さい 。サポートエコシステム
良質なコストパフォーマンスの高い事業者が多い。総合大学、研究所など— Kayoreena (@kayoreena1021) October 20, 2019
巨大なインドで起こるロジスティックの問題
実際、インド国内でものを買うとき、1週間とか平気でかかってしまうのですが、そうなると、購入した人も気持ちが下がってしまいますよね。今欲しい!と思って買っても、品物が届く頃には気持ちが冷めてしまう。そうなると返品の原因になるんです。
これから伸びるインドのソーシャルEコマース
僕たちはそういったことを繰り返さないように、現在のSNSのネットワークと地域のコミュニティの特性を活用してマーケットを開拓しています。
今回取り上げたCityMall以外にも今日、Group型のソーシャルコマースは現在インドで注目されている分野の一つであるそうです。
中国のPinduoduoっぽいGroup/Social Buying系はまだまだインドはあるなぁと思っていて仕込中です。中国でもそうだったように地方都市や田舎と相性いいと思うので、ここを狙う戦略が明確なところに張りたいです
Investors eye social e-commerce startups to target new users https://t.co/3biuwIF2wA— Nao Murakami 🇮🇳🇯🇵 (@nao_IFI) October 23, 2019
Tier2のOnline ShoppersはYoYで50%増。
Middle以下のマーケットが注目されている。
Bulbul Shop(ビデオコマース) Meesho(Facebook投資)Inthreeなど。B2B-commerceも増加。— Kayoreena (@kayoreena1021) October 15, 2019
現地のビジネスメディア liveMintによると、インドのソーシャルEコマースに関わるスタートアップは今年だけで1億5700万ドルの投資を受けています。これは2018年に投資された金額のほぼ2倍に相当します。
Eコマースで最も注目されているMeeshoはこれまでに1億9000万ドルの金額を調達しています。
Messhoの大きな特徴は、同プラットホームだけでなく、様々なソーシャルメディアを通して売買が行われる仕組みを構築している点です。ユーザーは自身の商品を自らPR・交渉する場としてFacebookやWhatsApp、MessengerなどのSNS・チャットアプリを活用しています。その意味で、MesshoはEコマースではなく、”ソーシャル・コマース”と呼ぶにふさわしいでしょう。
インド版メルカリ・Facebookバックの「Meesho」が1億2500万ドルの巨額調達ーーAmazon・Flipkartの次をいくソーシャルコマース、その手法とは
ソーシャルeコマースがインドの市場で非常に注目されており、企業はそのトレンドに合わせ、特にこれまでインターネットに触れてきていないユーザーのため、彼らに合わせた方法でのビジネスを提案するように工夫しています。
2019年5月のGoogleの調査によると、インドのスマートフォン検索の約7割は、小さな町からの検索であったことが報告されており、起業家たちはTier2,Tier3以下の小さな田舎町が十分なターゲットになることに気づいています。
そういった彼らが使いやすい仕組みを提供することが、インドにおけるソーシャルeコマースの正攻法と言えるでしょう。
LiveMintより引用
インドにおいてのソーシャルEコマースの今後は、中国と同様の傾向をたどる中で、地域差や文化、言語、慣習の違いなどさまざまな要素を考慮しつつ、スピード感を持ちつつ確実に巻き込んでいけるかどうかが鍵となりそうです。人々の日常に最も大きなインパクトを与えている分野であることは間違いないので、このサービスによる人々の消費行動の変化にも注目です。
KAYO OSUMI
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