みなさんこんにちは!Kayoreena(@kayoreena1021)です!
今日は、2019年12月、一番インドで話題になっている「市民権法改正」についてまとめます。
という人、多いのではないでしょうか。
ここ数日(2019年12月16日)ネットを中心にインド各地で起こっている抗議の様子が大きく取り上げられていますね。
インドがイスラム教徒以外の不法移民に国籍を与える「国籍法改正案」を議会で可決。
これがイスラム教徒への差別だとの批判に加え、北東部アッサム州では隣国バングラデシュからの移民が増えるとの懸念からデモが起こった。
さらに安倍首相の訪問も中止へ。#インドメモpic.twitter.com/96WHGBKnIt
— Kayoreena🇮🇳 (@kayoreena1021) December 13, 2019
インドで可決された「近隣国からの不法移民においてイスラム教徒以外に市民権を付与する」法案に対し、
宗教差別としてイスラム教徒によるデモが各地で行われている。先日デリーの大学構内で負傷者を出した事で各地の抗議活動が加熱。
こちらは首都インド門における抗議活動の様子#JamiaProtest pic.twitter.com/PD26edR1nk
— Kayoreena🇮🇳 (@kayoreena1021) December 17, 2019
ということで、今日はこの「インドで起こった市民権法改正について」現時点で抑えておきたいポイントまとめていきたいと思います!
Contents
今回起こった市民権法改正とはなに?
今回新しく議会で可決された法案は、パキスタンやバングラデシュ、アフガニスタンといったインド周辺のイスラム諸国で迫害され、2014年12月31日までインドに逃れてきたヒンドゥー教、シーク教、仏教、ジャイナ教、パルシス、キリスト教の少数派となる6宗教の人たちに、宗教的迫害が理由だった場合にインドの市民権を与える法案です。
今回、1955年のインド市民権法の改正を行う「2019年インド市民権法に関する改正法案」が下院、上院の両方で可決されました。
市民権の申請者は過去14年間のうち11年間インドに居住している必要がありますが、この改正で、対象6宗教においてはこの要件が11年から6年に緩和されます。
また、彼らがインド市民権を申請する前に、少なくとも11年間インドに滞在するための要件は5年削減されました。
そしてその6宗教の中にはイスラム教が入っていなかったのです。
今回の法改正において反発する人たちが、インド各地で抗議デモを起こしています。現在インド全土で起こっている2種類の抗議があります。
反発1:北東部アッサム地方で起こった抗議
そこでインド国内で起こった抗議は、特に北東アッサム地方で大きいものでした。
この地域は歴史的に、イスラム教徒が多数派を占めるバングラデシュや、仏教徒が多数派のブータンと国境を接しているため、歴史的に多くの移民が流入してきています。そこで過去に起こった戦争で、近隣国家が多数の難民を生み出した際に、その難民の多くはインド北東部に移ってきました。
その結果アッサム州では1970年後半から1980年前半にかけて、反移民の暴動が巻き起こるなど、元からインド北東部に住んでいた民族と移民との対立構成がより深いものになっていったのです。
2011年の国勢調査では、アッサム語を話す人がアッサム地方全体で50%を下回った。これは移民が増えすぎた影響だ。私達の民族の存在を脅かされるのは絶対に嫌だ!
Is Assam Mirroring the ‘Idea of India’ on the Citizenship Amendment Bill?より
今回の法改正で他民族にまで市民権が付与されたら、彼らが正式なインド国民として認められてしまう。それは大反対だ。
これがアッサム地方の人達の主張です。
反発2:イスラム教徒内で起こった抗議
インドで可決された「近隣国からの不法移民においてイスラム教徒以外に市民権を付与する」法案に対し、
宗教差別としてイスラム教徒によるデモが各地で行われている。先日デリーの大学構内で負傷者を出した事で各地の抗議活動が加熱。
こちらは首都インド門における抗議活動の様子#JamiaProtest pic.twitter.com/PD26edR1nk
— Kayoreena🇮🇳 (@kayoreena1021) December 17, 2019
③イスラム教徒の主張
→「イスラム教徒への宗教的迫害」
ヒンドゥー至上主義のポピュリズム与党は、政治的権力を利用して宗教差別を行っている。イスラム教徒以外の不法移民へ市民権を付与する法案はムスリムの同胞に対する非道の仕打ちであり反対。— SHOGO🇮🇳インド在住キュレーター (@Shogo_gowest) December 16, 2019
それにパキスタン、アフガニスタン、バングラデシュの3カ国は、イスラム教徒が多数派を占めているので、イスラム教徒は迫害を受けるマイノリティーとみなされない。
【登場人物の各主張】
①ヒンドゥー至上主義のポピュリズム与党
→「隣国からきたマイノリティ不法移民の救済」
隣国で迫害を受けたヒンドゥー教徒には不法移民だけど市民権を与える。ついでに隣国のマイノリティ5宗教徒にも助けてやろう。でも隣国で多数派のイスラム教徒には市民権を与えないよ。— SHOGO🇮🇳インド在住キュレーター (@Shogo_gowest) December 16, 2019
モディ首相の支持層も、ヒンドゥー至上主義者だから、このような政策を進めることによってイスラム教徒を国内から排除し「ヒンドゥー教徒の国家」にしようとしているんだ!
さらに政府は「母国で迫害を受けている人々を救助するため」の法案であるとしながら、救助する対象を恣意的に制限していると指摘されています。
改正法案によって市民権が与えられるのはパキスタンやバングラデシュ、アフガニスタンからの移民に限られており、近隣のネパールやスリランカ、ミャンマーからの移民や難民も存在しているにもかかわらず、政府は彼らには市民権を付与しません。
この2つの暴動に関しては、こちらのtweetでも詳細にまとめられています!
インドでいま、暴動やデモが拡大している。
今回の暴動には「不法移民のイスラム教徒」と「アッサム州少数民族」という2種類の社会的マイノリティが、ポピュリズムと複雑に絡んでいる。
第二のカシミール問題ともいえる、アッサム州の不法移民問題について、時系列で簡単にまとめました。 pic.twitter.com/106GMhpz8C
— SHOGO🇮🇳インド在住キュレーター (@Shogo_gowest) December 16, 2019
改正案における暴動の様子
Violence In East Delhi Over Citizenship Act, Stones Thrown, Tear Gas- NDTV https://t.co/1BWD4qbqgl
— Kayoreena🇮🇳 (@kayoreena1021) December 17, 2019
現地のメディア NDTVによると、市民権法に対する抗議は今日もデリーで起こったとのことです。
特に今回、ソーシャルネット上でも最も刺激的に拡散されている抗議の様子の一つに「#JamiaProtest」というものがあります。
How to rescue a victim during a #lynching incident.
Real life demo by women students of #Jamia— Natasha Badhwar (@natashabadhwar) December 15, 2019
先週末、デリー警察が市民権改正に抗議する人々を厳しく取り締まる中、デリーのジャミア・ミリア・イスラミア大学が、大規模な抗議の現場になった事件に関するハッシュタグです。
伝えられるところによると、デリー警察が大学構内に侵入し、催涙ガス爆発と生徒に対する暴力を行ったとのこと。デリー警察の乱暴な様子がネット上でも大きな非難を浴びています。
This video was sent to me by my kid Sister’s friend who studies in Jamia.
“Why is the police doing this, Didi. We are students, we are not criminals!”
She’s 22. She’s scared.
How could the police enter the campus library? #CABProtests #jamiamiliaislamia pic.twitter.com/VOHZiRrDCx
— Zeba Warsi (@Zebaism) December 15, 2019
この動画はJamiaで勉強する姉妹の友達から送られてきたものです。
なぜ警察はこのようなことをするの?私達は生徒です。私達は、敵ではない!
彼女は22歳。とても怖いです。
デリー警察は、大学のキャンパスに入ったという報道を否定しましたが、ソーシャルネット上には、彼らが生徒たちに暴行を振るう姿がしっかりと映し出されていました。
こういった現地での警察の乱暴に対する抗議として、ソーシャルネット上では #JamiaProtest のハッシュタグをつけ、ボリウッド女優や有名人などがさまざまな抗議声明を発表しています。
Prime Minister Narendra Modi has called for calm after several days of major protests against India’s ‘anti-Muslim’ citizenship law #JamiaProtest
Follow our LIVE blog for the latest updates: https://t.co/euec2mzvRf pic.twitter.com/rdHfGseaL4
— Al Jazeera English (@AJEnglish) December 17, 2019
現在、インド各地で抗議は過激さを増す一方で、政府側からは「法律は迫害された少数派の生活を守るためのものであり、インド国民に影響はありません」という発表のみで、今後の見通しなどはたっていません。
引き続き経過は発信していきたいと思います!
参考▷
KAYO OSUMI
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