「自動運転車禁止令」より、技術的失業はインドにも来るのか考える vol.308

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kayoreena920

函館生まれ 北海道大学医学部卒。2016年9月インド人材紹介会社Miraist 所属。インドで働き始めて毎日1本インドブログを更新。インドで働きたい人の背中を押すべく始めたインドブログが、最近の趣味となっている。
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みなさんこんにちは!Kayoreena(@kayoreena1021)です!

本日もインドにまつわる記事をお送りいたします。

Varun
だってIndia Blogだからね

 

本日あったニュース

インド政府、ドライバー不在の自動運転車を禁止。

Hindustan Timesより

インド政府の大規模輸送大臣が、ドライバーの乗らない自動運転車の使用を禁止すると発言。

ニティン・ガドカリ大規模輸送大臣の説明によれば「失業率が高い現在の状態で、さらに運転手の職まで奪うような技術を導入することはできないという意見。

インドでは現在2万2000人の運転手要員が不足しており、政府は今後数年間をかけて5000人以上の職業ドライバーを要請すべく各地に自動車学校を開設しようとしている最中だと話す。

Varun
世界中の先進国では積極的に自動運転化の流れが来てるんだけど…ね。

 

インド企業の中にもすでに、大手自動車メーカーTATAのグループ企業TATA ELXSIのように、インドの道路事情に似せたテストコース(人間だけでなく、牛などの家畜がいたり、車線や標識が消えたりなくなっている状態)を作って、インド向けの自動運転AIを開発スべく取り組んでいる企業もあるなかでの大臣の発言。

「自動化により、失業者が出てしまう」というのが一番の問題点だと話します。

 

世界的に起こる「技術的失業」の流れは確かにある

「技術的失業」とは、人間が創出する技術的なイノベーションによってもたらされる失業を意味します。

 

CATALYST〜人工知能で技術的失業をした人びとの第二の人生は? 経済学者からのヒントより

最初に技術的失業が起きたのは産業革命期(1770~1830年)のイギリス。
それまで人びとの手作業で営まれていた織物業に紡績機や紡織機が導入され、オートメーションの流れが加速しました。
しかし、当時は失業者は増えたものの、あくまでも一時的で局所的な問題に留まりました。

背景には、機械の導入により必要な労働力が節約されたことで、綿布が低コストで供給されるようになり、一般消費者に下着を身につける習慣が広まったこと。

その消費需要に応えるべく新たに工場労働者の需要が増大したのです。

これまではイノベーションが起こることで既存産業が効率化し、消費需要が増大した。
そして、新しい産業が生まれ、労働者の技術的失業は労働移動によって解消されてきた。

だから、技術的失業がさほど大きな問題にはならなかったのです。

 

これまでは新しい産業が生まれ、そっちに労働移動が起こっていたため、技術的失業は起こらなかったのです。しかし、今後の流れは過去のものとは違うと、本記事では指摘されていました。

 

CATALYST同記事より

1990年代から今日まで続いている、情報通信産業で技術的イノベーションが起きている第三次産業革命期においては、これまでの歴史的教訓に当てはまらない可能性が高いでしょう。

先進国において、需要がそれほど増大しない一方で、技術の発達とともに労働が節約されているため、労働需要が減少しているからです。

 

すでにアメリカでは、中間的な所得の事務的な労働が情報技術にとって代わられ、低賃金の肉体労働と高賃金の頭脳労働の「二極化」が起こっているとのこと。先進国においてはテクノロジーの発展による失業は、着々と浸透してきているんですね。

やはりインドでも、同様の変化が起こっていくのでしょうか。

 

結論:インドはしばらく技術的失業は起こらないと予想

 

今回出した政策によっても雇用は守られますし、その他様々な理由で、インドはテクノロジーの進出がもう少し後になりそうという根拠があります。

1.豊富な安いインド人労働者を使う方が経済的に有利

HUFFPOST 労働者からロボットへの切り替えが最も速いのは、意外な国かもしれない より

安くモノ作りができる人間が13億人いるとしたら、自動化する経済的な意味はほとんどない。

また、ロボットに関わる「買う」か「買わない」かの判断では、人間の作業に対する機械の技術的性能も重要である。例えば、布の裁断や裁縫などの作業では、少なくとも現状、人間の手が必要である。

 

2.インド政府の仕組みが失業を簡単に許さない

HUFFPOST 労働者からロボットへの切り替えが最も速いのは、意外な国かもしれない より

お役所的な障害もある。従業員を100人以上抱えるインド企業は、従業員を解雇する前に政府から許可を取得しなければならない。その手間を考えていただきたい。

労働力に柔軟性がないことで、既にある工場の自動化が妨げられているだけでなく、自動化を検討している企業や投資家は、資金を現代的な工場の新規建設に投資する前に、再三考え直さなければならないという強力なメッセージが送られているのだ。

今のところ、大多数の新興経済の労働者が恐れる必要はほとんどないであろう。工場にロボットが導入される日は来るかもしれないが、それはまだ先のことだ。

今回の政策も、雇用の確保を第一に掲げています。

 

3.そもそも、世界的に見ても技術的失業はそこまで急速ではない。

技術が進歩しているとは言え、技術の自動化の全面的普及は何十年もかかる見通し。代表的理由は下記の通り。

技術的実現可能性…マッキンゼーが示した18の作業能力の一部を、機械はすでに人間と同レベル、またはそれ以上でできるものの、まだ多くの作業能力は技術的進歩が求められている。

ソリューション開発と適用コスト…自動化には労働賃金と比べて初期コストが掛かる。

規制当局と社会の容認…自動化がビジネス観点から理にかなっているとしても、その普及速度は規制当局の承認や、ユーザーの反応といった要因に左右されることがある。組織のプロセスや慣例を一新するにも、技術と同様それなりの時間がかかる。

マッキンゼーグローバルインスティチュート:未来の労働を探求するより(2017年1月)

テクノロジーの進歩はさまざまな予想がされているものの、まだ新興国であるインドは、現在の労働相場と、政府の対策(性質)により、しばらくこのままゆるい感じで展開していくのではないかというのが大方の予想です。

Varun
新興国と先進国で、いろいろ条件は違うよね。

 

ちなみに日本もアメリカのように技術的失業は顕著ではない分析されています。

1つめに、情報通信のテクノロジーの導入が遅いこと。
2つめに、技術的失業よりもデフレ不況による失業率の増加のほうが注目されていたこと。
3つめに、技術的失業よりも少子高齢化の問題が経済成長率を低下させているという問題。

なんだそうです。

 

関連書籍

 

第五の権力—Googleには見えている未来

自動運転車の開発など第一線をいくGoogleが予想する未来について書かれた1冊。2025年「世界80億人がデジタルで繋がる世界」、私たちの暮らし、国家、革命、戦争はどうなるのか?難しいけど読み応えあります。

 

 

イノベーションの普及

東大大学院の友人がオススメしてくれた1冊。
初版刊行時から40年を経て現在第5版、5,000以上の文献の分析を重ね、ソーシャルマーケティング、受容レートの予測、技術移転などを含む最新の研究や現在のトピックを盛り込み、「イノベーションはどのように伝播していくのか?」という問いに理論的かつ経験的に解明する。

 

テクノロジーによる失業、Kayoreenaも打撃を受けないように必死にブログでアピールしています…(なにを?笑)

でも社会も人も、そんなに早くは変われないという感じでしょうか(いや、変化するところはとてもつもないスピードで変化している!)インドはしばらく、このペースですすみそうですが。

 

 

なんか、今日の話は結構難しかったぞ。インドのためにいろいろ調べすぎました(笑)

ではまた!


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