インド 独立後最大の税制改革「GST」が7月1日よりスタート 世界一簡単にまとめてみた vol.294

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みなさんこんにちは!Kayoreena(@kayoreena1021)です!

今日は、2017年7月のインドビッグイベント

GST導入について

*専門家ではないので、素人の私が理解できる範囲で日本の皆さんにお届けします!

 

プリヤンカ先生
インド人なら誰もが知ってる税制改革(のはず)
FINANCIAL TIMESより

インドは議会闘争の曲折を経て、州ごとに異なる間接税を一体化する物品サービス税(GST)をようやく導入しようとしている。世界最速で成長する主要経済国のインドは、GSTで恩恵を受ける可能性がある。モディ首相の与党インド人民党(BJP)の思惑通りにいけば、GSTは7月1日に導入される。インド議会で最初にGSTが提案されたのは11年前のことだった。

この新たなGSTは、70年前のインド独立以来、類を見ないほど野心的な改革だ。また同時に、規制緩和や民営化が始まった1990年代初期以降、同国で最も大きな影響を与える経済発展になる可能性もある。

 

そもそもGSTってなに??

これは自分の勉強のためにも、ネットの情報を参考に解読してみますよ〜。

日本貿易振興機構HPより

GSTでは、物品税などの国税をCGST(Central GST)に、付加価値税(VAT)などの州税をSGST(State GST)にそれぞれ統合し、これらに複数の州を経由する取引に課されるIGST(Integrated GST)を加えた3つの体系となった。

導入に当たってのスケジュールやルールは、中央政府と州政府の財務相で構成されるGST評議会が検討し、決定する。税率は5%、12%、18%、28%の4段階にするとされており、5月18~19日に開催されたGST評議会で、物品やサービスごとの税率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが決定された。

つまり、簡単に言うと「税の仕組みを統合し、4段階の税率に決定する」ということ(だいぶ簡略化してます)

 

プリヤンカ先生
簡単に言うと、生活必需品の税率は低く、贅沢品は高く設定されています!

 

なぜGSTを実施するの?

日本貿易振興機構HPより

インドの間接税には複数の国税と州税が併存し、税の種類によっては相殺不可能なものがあるなど、複雑な体系になっている

現在、導入準備が進められているGSTは、物品税、付加価値税、サービス税、オクトロイ(特定州で課される物品入市税)など複数の間接税を統一することで、税体系の透明性向上と簡素化を図る狙いがある。

モディ政権で導入の動きが加速、2016年8月には導入のための憲法改正案が可決され、政府は7月導入を目指している。

ふむふむ。GSTを導入することにより、複数の間接税を統一し、税の仕組みを透明化、そして簡素化するのが目的ということですね。

 

 

プリヤンカ先生
インドでは中央政府と州政府が個別に複数の間接税を課すという制度を取っていました。特に、州によって税制が違うため、州を越えて取引をする場合、商品配送のトラックが州を超えるたびに税調整の手続きのために長蛇の列を作るという非効率さを生み出す原因となっていました。世界銀行の調査による納税のしやすさ国別ランキングでインドは190ヵ国中172位と低い評価となっています。また、複雑な税制は脱税の温床との指摘もあります。

 

 

GSTの導入をした際に起こる事象

1.業界によっては税率が低下。または税率上昇。それによる経済効果が(負の場合も含め)起こる

日本貿易振興機構HPより

テレビや冷蔵庫、デジタルカメラなどの家電製品には現状より高い28%が適用されることになり、18%の適用を求めてきた業界には厳しい結果となった。パナソニック・インディアのマニシュ・シャルマ社長は「顧客にとっては4~5%の値上げとなり、7、8月の販売に影響を与えるだろう。贈答や更新需要が高まる祭事シーズン(10、11月)に需要が戻ることを期待したい」(「エコノミック・タイムズ」紙5月20日)と語った。

自動車(トラクターなど一部を除く、二輪車を含む)の税率は28%となった一方、電気自動車(EV)は12%と、EV導入を進めたい政府の意向が反映されたかたちだ。しかし、ハイブリッド車については28%の税に加え、セグメントに応じて課せられる一種の奢侈(しゃし)税として15%が適用され、環境対策車により扱いが異なる。これについてトヨタ・キルロスカ・モーターのシェーカル・ビシュワナタン副会長は「政府はEVを推進しているが、ハイブリッド車も環境配慮に重要だ。ハイブリッド車への高課税は後ろ向きだ」(同)と批判している。

 

 

2.インド政府「税払え!」インド人「払いたくない!」の戦い勃発

インド駐在歴10年を越える中さんFacebookより抜粋

以前もブログで書いたとおり、なんとインド人口の9割強が税金を払わない人々。これは日本的にはカルチャーショックではあるが、GSTの導入により今まで逃げてきた?中小企業も支払いを課せられるとのこと。しかし新しい制度が始まると同時に、新しい逃げ道も考えられている…

「しょうがないから税金払っているやつから多く取ってやろう!」という発想の元、真面目にやってきている日系企業が多額の税金で苦しめられているという話も聞いたことがある…皆ちゃんと税金払おうよ!母国のため!

 

 

3.(単純化したはずが?)制度が難しすぎて日々情報収集

GST導入前、日系会計会社によるセミナーにより、多くの日本人は具体的にどの品目が何%になるかたくさん講義を受けたのだが、制度が複雑過ぎて判断に時間がかかってしまう。

本当は課税しなくても良いやつに課税してる店、あるんじゃないの?!(十分起こりうる)ということで、自分たちの確認が必須。

 

 

GSTに期待される効果は?

2017年5月 産経新聞より

新制度導入により企業は一時的なコスト増に直面するとともに事業活動に一部支障が生じる可能性もあるが、多くのエコノミストは、単一市場が長期的にインド経済にプラスの効果をもたらすと見込んでいる。

GST導入による最大の勝者は、国内輸送の利便性が増す物流企業になりそうだ。また、入州税の廃止によりコストの低い地域の魅力が増すため、貧困州も恩恵を受ける見通しだ。企業誘致をめぐる競争も激化しそうだ。

 

2017年5月 日本経済新聞より

州境を越える際の税務手続きが省かれ、工場や倉庫の立地も最適化しやすくなる。「成長率を0.9~1.7%押し上げる可能性がある」(印格付け会社インディア・レーティングス・アンド・リサーチ)とみられ、印政府も中期的に税収が増えると期待する。

モディ政権発足の2014年度以来、インドは3年連続で7%台の高成長を見込む。中国に代わりアジア経済のけん引役になりつつある。インドは世界銀行の「ビジネス環境ランキング」で130位にとどまるが、GST導入でビジネス環境が改善すれば、外資誘致にもプラスに働く。

 

ピクテ投信投資顧問株式会社HPより

マイナス面としては新税制導入に伴う混乱が想定されることです。

次に、インドのインフレ率上昇も懸念されます。過去、GSTを導入した他の国では、導入後インフレ率の上昇が見られた場合もあるからです。ただ、インドのGST導入では、穀物など生活必需品は非課税とすることが合意されています。

また、一部消費財には5%の定率が適用されるため、反対に価格が下がるケースも想定され、インド財務省はGST導入によるインフレ率上昇は緩和されると期待を表明しています。

 

はい、こんな感じです!

今回は簡単にGSTについてまとめてみました。

私は専門家ではないので、既存の情報を元にまとめただけで、状況は一刻一刻変化しておりますので「Kayoreenaブログにこう書いてたじゃん!!」と判断せず、常に最新情報を元に判断してください^^

 

インド日系企業の皆様…大変な時期だとは存じますが、乗り越えていきましょう!!

 

 

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KAYO OSUMI

函館生まれ 北海道大学医学部卒。2016年9月よりインドの現地採用で就業。当時よりインドに進出する日系企業向けに、インド現地の話題やビジネスに特化した記事を合計600本以上執筆してきている。2018年1月から東京拠点に移し活動を続ける傍ら、現在は株式会社メルカリのインド人・外国籍エンジニアの就業支援。引き続きインドのマーケティング、調査、人材採用を強みとする。
Kayoreena
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