インドのスラム街で雇用を生み出す社会起業家が目指す世界

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みなさんこんにちは!Kayoreena(@kayoreena1021)です!

 

今回は「コロナに負けるな!応援企画」と題して、世界を舞台に活躍する様々な日本の方のインタビューをお届けしていきたいと思います。

 

この記事は私なりに混乱する今日、何かできることはないかなと思い、何名かの方に取材をお願いして書かせていただいたインタビュー記事になります。

 

あえてこの時期に、こういった企画を書くことで、コロナに打ち勝ち、また皆が普通の日常に戻り、世界で活躍する姿を取材したいという強い思いを持って発信します。

 

今回のゲストは、Tsuru Sakiさんです。

プロフィール
1992年生まれ。岐阜県出身。都留文科大学卒業。学生時代にバックパッカーで訪れたインドで目の当たりにした貧困に衝撃を受けて、インド現地企業・NGO、フィリピンの社会的企業でインターンに参画。近い将来インドで事業を立ち上げるための修行として、2016年パーソルキャリア株式会社入社。約2年半、人材紹介事業で法人向けに採用コンサルティングに従事。在職時に、行政受託事業でプロボノ、インドネシアの社会的企業でインターンに従事。退職後2018年11月にボーダレスジャパンに入社し、ビジネスプランを創り、2019年7月より事業立ち上げのためインド渡航

Borderless Japan HPより

現在、インドのロックダウンが続く厳しい中でも、現地に残り、インドでのビジネス計画を練りながら、準備を続けるSakiさん。今回は現地にいるSakiさんとオンラインを通じていろいろな話を伺うことができました。

 

Saki
皆さんよろしくお願いいたします!

世界中を旅でまわって、最後にたどり着いたインド

Sakiさんは現在、インドのグルガオンで起業され、現地の貧困女性に雇用を生み出すことをミッションに事業を展開されています。このインタビューを実施したのは、インドがロックダウン施策が決定した直後でしたが、現在もインド現地におられます。

 

Sakiさんと私自身の出会いは、実は数年前にさかのぼります。私自身が2017年にインドで働いていたとき、旅行中だったSakiさんが私のところを訪ねてきてくれました。そのときに「いつか自分も、インドの地で仕事をしたい」と言っていました。そして2019年、実際にインドの地に足を運びました。

 

これまでたくさんの人が「いつかインドで働いてみたい」と連絡をくれましたが、実際に足を運んできた人というのは、本当にわずかです。Sakiさんは、それに当てはまるとても貴重な人材です。

 

今日はそのSakiさんの話を、私のブログ記事で書けることをとてもうれしく思います。

それではまずはじめに、現在インドでどのようなビジネスを展開しているか教えていただいてもいいでしょうか。

 

Sakiさん:インドのスラムで学歴やスキルがなくどこにも雇用をされず、低賃金で働かざるを得ない女性に対して、SAKURA Home Serviceが自社雇用をしています。そこで、プロフェッショナルな家政婦になるため、マナーやお掃除スキルのトレーニングを行い、現在は主にインド人富裕層の家庭に派遣する事業を行っています。

 

Kayo : 実際に、そういった海外でビジネスをしたいという思いに至ったのは、いつ頃ですか。

 

Sakiさん:バックパッカーで13−14カ国回って旅をしていた時期があったのですが、いろいろな国を回った最後に、インドの農村部に行く機会があったんですね。

 

そこで生活する村の子供達に会ったのですが、そこで皆が「自分たちの夢」についていろいろ語ってくれたんですよ。

 

当時、インド現地のNGOでボランティアをしていたのですが、こういった素敵な光景を目にしながら、NGOの現実的な問題にもぶつかったんです。

現地のNGOというのは、実は9割の寄付金で運営をまかなっていて、とてもいい活動をしているにも関わらず、継続がとても大変な状況だったのです。

 

特にこの頃は、2011年3月11日の東日本大震災直後だったので、寄付金も集まりにくかったんです。

 

そういった夢を持っている子達がいても、育っている環境が厳しかったり、親がいなかったり、様々な理由で夢が叶えられない状況を、なんとかしたいと心から思うようになったんですよね。

 

ーーそういった社会問題を、ビジネスの仕組みを使って解決したいと考えたSakiさんは、その後インドでインターンシップを経験し、更に途上国の環境乗りを深めていきました。

 

始まりはいつも1人 スタートを決めるのも自分

帰国後は一旦、日本の会社に就職し、キャリアをスタートしたSakiさんですが、その秘めた思いは、どのように持ち続けていたのでしょうか。

Sakiさん:最初は普通に働いて、充実した社会人生活を過ごしていたのですが、心のなかでどこか、忘れられない思いがありました。

 

実際に2017年にインドに行ったとき、Kayoさんと会って、現地で働いている姿を直接見たこともきっかけです。

 

その時Kayoさんは「小さな成功体験を積むことが大切だ」という話をしてくれたと思うのですが、そうやって小さな準備を積み重ねっていったときに、心理的な『一歩踏み出す準備』が整っていきました。

 

Kayo : 小さな成功体験は、実際にどのように積み上げていったのですか?

 

Sakiさん:とにかく行動の積み重ねでした。プロボノの活動や、社会人になってからの海外インターンへの参加とか、その度に「これをインドでやったらどうやってできるんだろう」ってイメージトレーニングをしていました。会社の方も順調だったのですが、一定の営業目標を達成したらやめようと思いました。

 

最後の決断を決めたのは、インドネシアで社会起業家の方と会ったときでした。

 

その方は70代の方だったのですが、その方の話で「何かをスタートするときはいつも1人。怖くても、小さくスタートを切らなくてはいけない」という言葉がとても印象的だったんですね。

 

それまではいろいろな活動が『いつか来るときのための修行』のような感覚で取り組んでいたのですが、結局いつスタートするかも自分が決めることで、もしいつかやるのなら、早くやったほうが良いなと強く感じたんですね。

 

その話をしたとき、自分自身はまだ、社会人2年半くらいの経験しかなくて、これまでの経験を生かして、どこで自分の夢を実現できるかなと考えたときに、ボーダレス・ジャパンという社会起業家のプラットフォームに巡り合ったんです。

 

スラムの現地調査で知った現地の社会問題の複雑さ

そこの事業の一環として、インドでの女性の社会進出を間接的にサポートするビジネスをスタートすることになりました。

 

Kayo : 実際にインドに足を運んで、0からのスタートだったと思うのですが、具体的にどんな活動からスタートしたのでしょうか。

 

Sakiさん:インドに行って最初にやったことは、現地のスラム街の調査でした。インド人の協力者を連れて、実際にスラムの現場に行って、女性がどのように働いているか情報を得る必要が有りました。しかし実際に現場に足を運んでみると、いきなり来た外国人に、現地の人は話を聴いてくれませんでした。

 

『この外国人は人身売買をしにきたのか?!』『自分たちの街に入ってくるな!』というような厳しい言葉もかけられました。

 

こういった反応以外にも、私達を見て怖がるインドの方もいて、もともと現地の人は、外から来た人に強い恐怖感を抱いていました。きっと、過去に怖い思いをしたことがあったのだと思います。

 

更に調査を進めてみると、スラムのエリアでの稼げているエリアとそうでないエリアに分かれていることもわかりました。比較的富裕層が近くに住むスラム街は月収が2万ルピー以上のメイドさんが結構いて、一定基準はクリアしていましたが、エリアによっては仕事がなかったり、生活状況が悪いという状況がありました。例えばグルガオンの近辺で言うと、ソナーロードあたりのスラムに住む家族の人の稼ぎは少ないという調査結果が出ました。

 

Kayo :そういった現場のデータを取るだけでも本当に大変そうですね。

 

Sakiさん:給与が低いと、生活が苦しいということ以外に、それが原因で家庭内暴力がおこったり、少ないお金をお酒に使ってしまいなくなってしまったり、複合的な問題が起こりやすいんですよね。少ない収入をなんとか教育費にお金を回したいという女性がいても、旦那が勝手にお金を使って、さらにストレスで暴力が増えて、そんな悪循環が起こってしまうんです。

 

 

そういった根本的な問題を解決するためには、まずは情報を整理して正しく状況を掴むことと、そしてインドの人たちとの信頼関係を作っていくことが大切だと強く感じました。

 

Kayo : 実際にそういうスラムの女性たちを採用して、事業をしてみてどうでしたでしょうか。

 

Sakiさん:もちろん、最初からうまくいったわけではありません。彼らが育ってきた環境を尊重し、自分が持っている考え方を押し付けて「スラムの子を変えよう」と考えるのはやめました。初期の頃はどうしても折り合いがあわず、メンバーを解雇したりする厳しい決断をすることもありましたが、実際にお客様がついたことで、メンバーの顔つきも変わってきた感触があります。実際に人を採用したのは2019年の9月ごろなのですが、そこから3−4ヶ月たって、少しずつ組織らしさも出てきたという実感はあります。

 

Kayo : やっていく中で、辛いなとか、やめたいなと思うことはないですか?

 

Sakiさんいや、何度も帰りたいって思いましたよ(笑)自分自身も、このまま続けられるのかなと真剣に悩んだことはありましたけど、目の前のメンバーたちが変わっていく姿を見ていると、自分もまだまだできるなと思って、強い気持ちをつないでいます。

 

私達が実際に彼女たちと一緒に時を過ごして思うのは、彼女たちはすごくポテンシャルがある子たちなんですよね。でもやっぱり、環境が恵まれていない。

 

もし、彼女たちとしっかり向き合って、忍耐強く成長に向き合える人がいたら、何か変化すると思うんですよね。

 

先程話したとおり、私達の会社は、最初スラムの中でも評判が悪くて、全然信用されていなかったんです。働いていた女性の旦那さんから電話が来て「会社に騙されているに違いない!」と罵声を浴びることもありました。でも実際に事業を共にし、一歩一歩進んでいくことでそういったことも減ってきました。

 

Kayo : 本当にタフな環境の中、一歩一歩歩んでいっていますね。

 

一番応援してくれている日本にいるパートナーの存在

Sakiさんは、現在インドに1人で来ていると思うのですが、パートナーの方は日本で就業されています。海外で働くときに、パートナーとの関係性に悩む人はたくさんいると思うのですが、この点に関してSakiさんに聴いたところ、快く教えてくれました。

 

Kayo : 普段はパートナーの方とどんなコミュニケーションを取っているのですか。

 

Sakiさん:パートナーとは毎日仕事が終わった後に電話するようにしています。昨年9月にインドに来てくれて以来、会えていないのですが、例えば2時間電話をつないで同じ空間を共有したりして、コミュニケーションを取っています。パートナーもインドで働いていたことがあるので、インドの大変さをとても理解してくれています。よく話を聞いてくれてとても助かっています。これが1人だったら、本当にしんどかったと思います。

 

Kayo : 物理的に離れていても、心理的にサポートしてくれる存在はとても貴重ですね。

 

Sakiさん:本当にそうだと思います。今は一緒にいれないのですが、コミュニケーションをしっかり取っているので遠くに離れていたり感じることはないです。日々の会話の中で、いつか一緒にインドに住みたいねという話も少ししたりしています。今は離れていますが、それぞれ日本とインドでお互いの目標に向けて頑張る時期だと思っています。

 

Kayo : 現地の日本の方で仲の良い方はいたりしますか。

 

Sakiさん:正直言うとこれまで現地の日本の方とあんまり関わってこなかったんですよね。集まりとかも参加していませんでしたが、最近だと、Twitter上でやり取りする同世代のメンバーは何人かいます。今後はもう少し現地の日本の方とのつながりも増やしていきたいと思っています。

 

現地の事業の展望 今後実現したいこと

現在はロックダウン中ということで、基本的な事業はストップしていますが、ロックダウンが解除されるタイミングに向けて、今は新事業の準備をしているとのことで、その内容についても少し伺いました。

 

Sakiさん:現在はグルガオンのエリアで小さく展開していますが、1つのロールモデルを確立したら、メンバーをトレーニングして型を作り、更に都市部に展開していきたいと考えています。こちらは新サービスの告知です!

Sakiさん:新サービスは、Monthly Special Careです。月に1回2-3名で訪問して、普段メイドさんやご自身で手の届かない所まで綺麗にする掃除サービスです。 毎月1回隅々まで掃除して、気持ちをリフレッシュに、さらに健康に過ごすというコンセプトで、特徴は、高温スチームなどの専門機材、業務用洗剤使って、汚れ落としながら除菌もできるところです。

現在ロックダウン中なので、サービスが再開でき次第、この新サービスの展開していきます!

 

Kayo:現在ロックダウン中ですが、現地の様子も少し教えてもらえませんか。

 

Sakiさん:インドのロックダウンは5/17までさらに2週間延長になりました。ゾーンごとに規制緩和が行われたため、事業者再開に伴い以前より車通りが多くなったように思います。 経済活動が徐々に再開できるとはいえ、コロナによる失業で生活の見通し立たない人達もまだ多数います。 私達も緊急支援等、できることから取り組もうと考えています。

 

Kayo:ありがとうございます!

インド緊急支援 コロナ失業者が明日を生きるために支援を届けたい

【Sakiさんは現地の緊急支援のためクラウドファウンディングに挑戦中!】

それでは記事の最後に、今後の事業の展望や、読んでくれている方に向けて一言、もらえますでしょうか。

 

Sakiさん:メイドさん達との関わりを通じ、単に仕事がないということだけでなく、家庭内での地位が低かったり、私達の見えないところでひどい扱いを受けていたり、自尊心が低い女性が多いことに気づきました。彼女たちは「いつ自分たちがクビを切られるんだろう」とビクビクしているんですね。

 

そういった彼女たちの背景を知ると、この問題の根深さを考えさせられますが、私達の事業を通じて、こういった女性たちが自信を持って働ける社会、女性の自尊心を高める活動を続けていきたいと本当に思っています。

 

事業を通じ、たくさんのロールモデルを作って、スラムの女性たちの才能を開花するサポートをしていきたいです。

【終】

 

編集後記

現在、インドで一番現場最前線で奮闘していると過言でもないSakiちゃんに今回の企画に参加してもらい、大変うれしく思っています。長引くロックダウン、現地では様々ないい結果と同時に、様々な問題も浮き上がってきていて、とても深刻な状況は続きますが、

 

その中でもインドの人たちのために一歩踏み出す彼女の姿勢には沢山の人が勇気をもらっていることでしょう。次会うときは、私がSakiちゃんの会社の女性の方々にインタビューできることを目指して、日本からインドの1日も早い平和をお祈りしています。

 

今回はインタビューにご協力いただき、本当にありがとうございました!

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KAYO OSUMI

函館生まれ 北海道大学医学部卒。2016年9月よりインドの現地採用で就業。当時よりインドに進出する日系企業向けに、インド現地の話題やビジネスに特化した記事を合計600本以上執筆してきている。2018年1月から東京拠点に移し活動を続ける傍ら、現在は株式会社メルカリのインド人・外国籍エンジニアの就業支援。引き続きインドのマーケティング、調査、人材採用を強みとする。
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ABOUTこの記事をかいた人

函館生まれ 北海道大学医学部卒。2016年9月よりインドの現地採用で就業。当時よりインドに進出する日系企業向けに、インド現地の話題やビジネスに特化した記事を合計600本以上執筆してきている。2018年1月から東京拠点に移し活動を続ける傍ら、現在は株式会社メルカリのインド人・外国籍エンジニアの就業支援。引き続きインドのマーケティング、調査、人材採用を強みとする。