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本日はインドのニュースをお届けしたいと思います。取り上げるニュースはこちら
インド最高裁「プライバシーは基本的権利」生体認証制度に打撃
インドの最高裁判所は24日、プライバシー権は憲法で保障される権利だと認める画期的な判断を示した。国民10億人以上の生体認証データを集めた政府のIDシステムは、見直しを余儀なくされる恐れが出てきた。
最高裁は判決文で「プライバシーの権利は基本的権利である」「国家または非国家の主体による干渉から個人の内面を保護し、個人に自立した人生の選択を認める権利である」とした。裁判官9人全員一致の意見。
今回のニュースを解説するにあたり、インドで実施されている生体認証IDシステム「アドハ−(Aadhaar)」について皆さんにご紹介します。
インドで導入されている生体認証IDシステム アドハー【Aadhaar】
Aadhaarとは、インド固有識別番号庁(UIDAI)が全国民を対象に12桁の数字を発行するというもので、2009年から着手。
Aadhaarという言葉には「基礎」や「支持」という意味があり、当初は、悪徳仲介業者にかすめとられた食料補助金などの福祉給付金が貧しいインド人に確実に届くようにするために考案されたものでした。
多くが出生証明書を持たないインド貧困層に、全国どこでも利用できるポータブルIDを与える制度とも見なされていました。
現在、稼働している生体認証システムとしては世界最大の規模。公共機関や銀行は、このIDにより社会保障の受け取り時や口座開設時の本人確認を行っています。
NECが生体認証システムを提供
実はこの生体認証システムを提供しているのはNEC。指紋・顔・虹彩を活用する大規模生体認証システムを提供しており、NECの指紋認証技術・顔認証技術は、米国国立標準技術研究所が実施したベンチマークテストにおいて、世界1位の照合精度を有するとの評価を得ています。
参考URL:NECの顔認証技術 世界最高レベルの照合精度
一見、順調そうに見えた生体認証システムですが
この生体認証システムが「基本的人権の侵害」ではないかという問題に
人権擁護活動家とインド政府が生体認証システムに関し対立。この裁判は政治問題にもなった。
原告側はアドハーの下での国民の指紋や虹彩の情報の取得が個人のプライバシーの権利を侵害していると主張。これに対し政府側の弁護団は、インド憲法ではプライバシーを基本的人権と規定していないと反論していた。
そして、冒頭の判決に戻りますが、今回の裁判では「プライバシーの権利は基本的権利である」「国家または非国家の主体による干渉から個人の内面を保護し、個人に自立した人生の選択を認める権利である」とし、プライバシー権は憲法で保障される権利だと認める画期的な判断を示しました。
これにより、国民10億人以上の生体認証データを集めた政府のIDシステムは、見直しを余儀なくされる恐れが出てきた、という内容です。
生体認証IDシステム アドハー【Aadhaar】そのものの評価は
日本でもマイナンバー制度が開始されたこともあり、このアドハーに関してもイメージは付きやすいと思いますが、そもそもこの制度はセキュリティや利便性において評価は高かったのでしょうか。
IT(情報技術)サービス大手インフォシスの共同創業者で大富豪のナンダン・ニレカニ氏は、自分のプロジェクトが監視社会の一部だと非難されることに「非常に腹が立つ」と述べ、この見方はプロジェクトを「完全に誤って伝えている」と言う。
「指紋なら、あなたのコップから盗める。こんなに複雑な技術は必要ない」とニレカニ氏は言う。「監視するのであれば、私の電話を追跡したり、タクシーを呼ぶために地図を使ったときに追跡したりするほうが、ずっとうまくできる。」
脱税目的で複数の納税者IDカードを所有するなど、規則を迂回する巧妙な手段でよく知られた社会では、個人の生体認証は規律をもたらし、不正を減らせるとニレカニ氏は指摘する。「規則に基づく社会を築くようなもので、その移行は目下進行している」と同氏は言う。
経済紙ミントによると、昨年7月から先月にかけ397件の生体認証データの漏洩があり、アドハーを所管するインド固有識別番号庁(UIDAI)は先月中旬、アクシス銀行、電子決済サービスのスビダ・インフォサーブなど3社を告訴した。
約4年前の2013年4月にも、西部マハーラーシュトラ州政府が、南部の都市バンガロールにあるアドハーのサーバーにファイルを送信する際に30万人分のデータを完全に喪失したと報じられた。
また、市民からは「見知らぬ他人の住所、氏名、電話番号、銀行口座を含む個人情報をメールで受け取った。送信元はインド政府だった」との報告が寄せられ、アドハーからの情報流出の可能性が指摘されている。
さまざまな見解があるものの、2016年10月には、この生体認証システムへの登録者数が10億人を突破し、世界最大規模の生体認証システムの運用に関して各国が注目しています。
今回の判決により、生体認証システムの運用はどのようになっていくのか
ここが今後の着目ポイント。引き続きアドハープログラムを追っていきたいと思います。
KAYO OSUMI
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