2022 年振り返り: 景気後退でインドスタートアップ企業の M&Aが急増 #adventcalendar

みなさんこんにちは!インドブロガーのKayoreenaです。

本日はアドベントカレンダー7日目です。12月の頭から25日まで連続でインドに関する記事を更新しています。

本日のテーマは「インドスタートアップ企業のM&A 」についてです。

今回はインドのスタートアップメディアInc42の記事より内容を抜粋して要約を作成しています。

まず、今年2022年のインドスタートアップのM&Aの注目内容は以下の通りです。

  • インドのスタートアップ エコシステムでは、2022 年に1 年間で最も多くの合併と買収(M&A)が行われ、その数は229 件。2021年より 9% 増加しました。
  • 特に多くの買収が行われたのはエンタープライズテックでした。
  • 最大のM&AはTimes Internetが支援する短編動画プラットフォーム MX Taka TakTak と ShareChatの短編動画プラットフォームMojの合併でした。

2021年の急成長に比べ、2022年は冬の時代へ

2021年は、インドのスタートアップエコシステムが新たな成長を記録し、非常に記録的な1年となりました。コロナのパンデミックはインドのスタートアップに大きな恩恵を与え、その過程で、インドのスタートアップエコシステムは、米国と中国の規模と差を縮めました。

しかし状況は2022年に劇的に変化しました。2021年がインドのスタートアップエコシステムの新記録だったとすれば、2022年はレイオフ、倒産、給与カット、資金繰りの危機がエコシステムを襲いました。さらに進行中のロシアとウクライナの戦争、それに伴う地政学的緊張、および世界的なインフレの上昇は、経済成長を注目されるインドの市場においても公共部門と民間部門の両方に打撃を与えました。

その結果、2022年はスタートアップの買収と合併が最も多い1年となりました。

2022年のスタートアップのM&Aの波は、主に市場シェアを強化したり、新しい分野に拡大したりしようとしているレイトステージのスタートアップによって推進されました。また投資家の撤退の圧力により買収が進んだケースも20パーセントを超えました。

Inc42より引用。今年のM&Aは2015年以降過去最大となっている

2022年のインドスタートアップにおける最大の買収は

今年一番のM&AとなったのはTimes Internetが支援する短編動画プラットフォーム MX Taka TakTakとShareChatの短編動画プラットフォームMojの合併でした。

統合されるプラットフォームには1億人のクリエーター、3億人の月間アクティブユーザー、約 2,500 億回の動画再生が含まれることになります。MX TakaTakは、当面は別のプラットフォームとして機能しますが、2つのプラットフォームのクリエイター基盤、コンテンツ供給、レコメンデーションアルゴリズムは統合されます。

インド政府がセキュリティ上の懸念を理由に人気のある TikTokを非合法化してから、インドのショート動画のサービスの市場へ激戦となりました。

Short Video Platform MX TakaTak Merges With ShareChat’s Moj In A $700 Mn Deal

二番目に大きな買収となったのは上場したフードテックスタートアップのZomatoがクイックコマーススタートアップのBlinkitの合併でした。

Zomato Acquires Blinkit For $568 Mn To Enter Quick Commerce Segment

コンセプトとしては、注文したら10分から15分以内に品物を届けてくれるというものです。

https://blinkit.com/ より

Kayoreena
出張中、実際に試してみることはできませんでしたが(インターナショナルカードが使えなかったため)渋滞が多いインド(都市部)で、10分配達のサービスが他にもたくさん始まったように見えました。Blinkitの宣伝もよくみましたし、メンバーにも使ってみてと勧められました。実際届くのでしょうか?私個人的には少し疑っています(笑)

日本でも話題になったLenskartとOwndaysの合併は金額的には3位にランクインしています。

今後のトレンドはどうなる?

記事では下記のように書かれています。

大企業や従来型の企業だけでなく、成長段階の新興企業や後期段階の新興企業による技術機能に対する需要の高まりは、今後も(M&Aの数は)拡大すると予想されます。また、企業が新サービスの立ち上げ、事業の拡大に向けて業務自動化を検討しているため、小規模企業の買収はさらに拡大する可能性があります。

2023年には世界経済の成長はさらに鈍化すると予測されています。これは2023年も変わらず、資金が少なく窮地に立たされた多くの新興企業が合併や買収を通じて撤退する可能性が高い年になることを示唆しています。セクターに関しては、eコマース、エンタープライズテックまたはSaaS、およびフィンテックセクターで取引活動が増加する可能性があるという兆候があります。

各セクターにより、M&Aのトレンドは多様ではあります。

例えばパンデミックにより、多くの小規模な配送スタートアップや迅速なコマース プレーヤーが生まれましたが、市場の変換により、これらはSwiggy、Zomato、BigBasket、Zepto、Dunzo、およびベンチャーキャピタルが支援するその他の e コマース プレーヤーによって買収される可能性があります。

フィンテック分野では話が変わり、M&Aや統合をすることこそが収益を生み出すことに直接つながります。フィンテック新興企業は統合により、消費者や加盟店や企業、全てのタッチポイントから最も多くの収益を引き出せるような複数の収益源を生み出すことを模索しています。

しかし、Paytmの場合に見られるように、大規模なユーザー ベースとスーパーアプリのアプローチも持続可能ではありません。したがって、スケールアップ可能なニッチセグメントのフィンテックスタートアップは、今後 12~18 か月で何らかの統合が見られることは間違いありません。

2022年には、過去12~14 か月間の減速の広範な影響を考えると、記録的な数のスタートアップの M&A が見られましたが、投資家の慎重さが資本注入を抑制し続ければ、この数字は 2023年にさらに伸ばすと予想されるでしょう。

最後に元記事を添付して本日の記事は終わりにします。

2022 In Review: Startup M&As Surge Amidst Funding Crunch & Downturn

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KAYO OSUMI

函館生まれ 北海道大学医学部卒。2016年9月よりインドの現地採用で就業。当時よりインドに進出する日系企業向けに、インド現地の話題やビジネスに特化した記事を合計600本以上執筆してきている。2018年1月から東京拠点に移し活動を続ける傍ら、現在は株式会社メルカリのインド人・外国籍エンジニアの就業支援。引き続きインドのマーケティング、調査、人材採用を強みとする。
Kayoreena
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