名探偵コナン 過去最高の興行収入 地方×アニメの新たな可能性

みなさんこんにちは!インドブロガーのKayoreenaです。

本業にも関わらず、最近インドに関する発信を怠っていてすみません。今回の記事もあまりインドには関係ありませんが、最近気になっていることについて書かせてください。

みなさんもご存知、日本を代表する名探偵コナンが、今年発表の映画「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」が興行収入140億円を突破し、歴代最高の額を叩き出しました。

作品数としては27作品目となるそうです。もう30年近く、視聴者の期待を超え続け、正真正銘、老若男女に愛され続ける名探偵コナンって本当にすごいですよね。いわゆるドラえもんやしんちゃん、サザエさんのような「ありふれた日常系」を描くコンテンツではなく、年齢を重ねた我々世代の大人も飽きさせない推理や黒組織との戦い、ヒューマンドラマ(懐かしい青春を思い出すような恋愛エピソード含む笑)もあり、特別推すわけじゃなくても、失いたくない大事な漫画なのではないかと思っています。

そんな名探偵コナンのことを、なんでこんなわざわざ記事にしているかというと、なんと今回、映画の舞台が私の地元「北海道 函館」だったからです。

函館市民としては大歓喜です。もちろん観に行きました。

函館出身で大活躍されるGLAY大先輩までもが応援!!その気持ち大変よくわかります。

名探偵コナン名物の「コナンくんが来ると治安が荒れる」は平和で溢れる我が故郷函館でも例外なしでした!

作品そのものもとても良かったし、何より心の底から「函館を取り上げてくれてありがとう!!」と思いました。これは私だけでなく、すべての函館市民が思ったのではないでしょうか。

函館民が喜ぶ理由ー桁違いなコナンくんの経済効果ー

これだけ函館民が歓喜する理由。それは年々停滞する函館に、たくさんの活気と経済効果がもたらされているからではないでしょうか。

日本全体に押し寄せる少子高齢化の減少は、もちろん函館も例外ではありません。観光地で人気、道内ではまだ3位の人口を誇る函館も、深刻な人口減少に悩まされています。

北海道の函館市は観光地として人気が高いが、人口は2021年6月に25万人を下回った。この人口減少は、過去に複数の町村との合併によって30万人を超えた後、経済の変化や地域の高齢化など複数の要因によるものである。函館市の人口減少の要因には、(市町村)合併後の過剰投資、不況、若者の流出、住宅不足などがある。

函館市の人口、25万人割れ かつては30万人超も  2021年朝日新聞より

そんな函館に今回新たな起爆力をもたらしたのが今回の名探偵コナンの映画です。これにより、非常に大きな経済効果がもたらされています。

「平次と蘭ちゃんが座ったベンチがあるホテル」は函館駅前に構える「プレミアホテル-CABIN PRESIDENT-函館」は、ホテルを背景に記念撮影するファンも少なくない。効果は宿泊実績にも表れている。

5月の稼働率は2023年の68%に対し24年は足元で80%。6月は8割、7月も6割近く予約で埋まり、4月の平均客室単価(ADR)は前年同月比で1200円ほど上昇した。 宿泊部の大川誠課長によると「前年と比べて夏場の予約ペースが早い。客室のアンケート用紙に『コナンの聖地巡礼で来ました』と記入する宿泊客が、公開1週間後から増えてきた」とコナン効果を実感する。

市内を周遊する観光客は増え、函館市電の利用も増えている。4月の乗客数は46万8000人と前年同月から約2万人増え、売り上げも500万円増だった。

映画名探偵コナン「聖地」の函館市、繰り出すファン回遊策より

実際に映画のシーンで登場した各名所を回遊することが目的で、函館に足を運ぶお客様が大変多いようです。いわゆる「聖地巡礼」に合わせて、ただのスポットの観光だけではなく「回遊」に焦点を当てて、市の観光局がイベントやキャンペーンを打ち出したとのこと。函館の映画館でも、通常の映画来客数より倍以上の数字を叩き出しており、特にゴールデンウィークはインターネットでチケットを予約して来場する道外利用者が目立ったとのことでした。

コロナもあり、長らく低迷していた観光業から、久しぶりに明るいニュース。これが一番、函館民が歓喜した理由ではないかと個人的には推測しています(少なくとも私はかなり嬉しいです)

そしてこの「地方×アニメーション」のコラボレーションこそ、新たな日本の観光資源としての可能性を秘めているのではないかと個人的には強く感じたのです。

日本が誇るアニメと地方の可能性

今回の件を記事にするにあたり思い出したのが「鬼滅の刃 無限列車編」ちょうどコロナ期間中だったこともあり、ここで出された興行収入は日本最高額となり、いまだにその記録は破られていません。この鬼滅の刃の聖地巡礼も、大きな経済効果が生み出されたと取り上げられていました。

くら寿司では、コラボ商品第1弾の発売日である6月12日に、平日では過去最高となる全店売上高を達成。ローソンが6月に発売した『炭治郎の漆黒炒飯風おにぎり』は、一強であった『シーチキンマヨネーズ』をしりぞけ、6日連続の店頭売上1位を記録した。『鬼滅の刃』から派生する経済効果は、数千億に及ぶと言われる。

さらに、長野県須坂市や奈良市柳生町にある“巨石”も、同作で炭治郎が厳しい鍛錬を経てようやく一刀両断する石にそっくりだと話題に。全国各地で、“割れ目の入った石”のある地域が突如観光スポットとして注目されるという異常事態が起きている。

これを受けてSNSでは「鬼滅、くら寿司の平日の売上の記録も変えた、ローソンのおにぎりの一日の売上も変えた、映画の初日の興業収入も変えたと、なんかもう景気がよすぎる」「日本の経済を立ち直らせてくれるのはあなたしかいない、という気持ちです」などという声が寄せられ、大きく拡散された。

「『鬼滅の刃』は日本経済の希望の光」無限城そっくりの温泉宿や、“石”まで聖地巡礼スポットに

もともと聖地巡礼というのは、最近始まったことではなく、多くの観光客が、それ自体を目的で旅のプランを組むこともあるでしょう。聖地巡礼のいいところは、そのアニメが放映されている期間を過ぎても、観光名所の一つとして確立されれば、時代を超えて光を浴び続けるということではないでしょうか。古くは映画『ローマの休日』で、世界規模で多くの人がイタリア・ローマの「トレビの泉」や「真実の口」などを訪れたほか、映画『サウンド・オブ・ミュージック』でオースリアのザルツブルグが一大観光地になりました(本記事より引用)

日本のアニメや漫画は思っているより人気

日本が誇るアニメや漫画というのは、暗いニュースが多い日本経済において、唯一無二と言っていい外貨を稼ぐ強力な武器であると言えると思います。私はご存知の通り、普段はインド人エンジニア採用を行っているのですが、彼らが日系企業を選んでくれる理由の半分くらいは「日本の文化、特にアニメや漫画に興味がある」という理由だったりします。インドで言うと、例えばクレヨンしんちゃんなんかは、多言語に翻訳されて放送されており、インドの人にも、一定の知名度を持っています。

最近の話題で言うと、2024年の3月に、ドラゴンボールの筆者である鳥山明さんがお亡くなりになり、ニュースになりました。この時、全世界から英語でお悔やみのメッセージが寄せられたことや、インドの友人も、インスタグラムのストーリーでメッセージを投稿していたことなどから、その影響範囲の広さが伺えました。

国内のアニメ産業の市場規模だけでもおおよそ3兆円となる市場規模であり、海外市場も2022年には前年比111.1パーセントの伸びとなっており、堅調な成長を見せています。最近はNetflixなどのストリーミングサービスも追い風となり、アジアにとどまらず、北米やヨーロッパでも日本のアニメ需要は非常に高まっているそうです。

日本の地方×アニメのコラボレーションが優良な観光コンテンツに

今回の名探偵コナンのムーブメントや日本を取り巻く状況から見ても、今後、日本得意のアニメーション×地方の名所のコラボレーションは、長期的なドル箱コンテンツとしてかなりいいのではないでしょうか。

1.民間に閉じることなく、官民連携で交通機関なども巻き込みコラボキャンペーンを行う。行政の観光ノウハウを活用する。

2.地元インフルエンサーへの告知の協力(今回は大泉函館市長が登場!)

3.季節に分けて「春キャンペーン」「夏キャンペーン」など中長期で展開

4.作品には地元民に愛されているわかりやすい名所をわかりやすく描写する(函館だと函館山や五稜郭)

5.飲食店を取り上げればわかりやすく足を運ぶ理由になる(ご飯は必ず食べるため。今回の作品で言うとラッキーピエロ)

6.地元民に愛されている歴史人物のエピソードを取り入れる(今回の作品でいうと新撰組の土方歳三がフィーチャーされている)

7.関連グッズは高いものから安いものまで、幅広い価格帯を意識する(大人は爆買いしてくれる)

8.海外勢へのリーチも怠らない

9.成績を細かく告知することで「イケてる作品」である認知をじわじわ獲る=行ってみようかなという潜在層が足を運ぶきっかけになる

10.名所に銅像を建てて永遠の聖地とする

今回、このような仕掛けとファンの熱量が押し上げて、このような記録が出たのではないでしょうか。引き続き、皆さんも名探偵コナンへの課金を、よろしくお願いいたします!

 

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KAYO OSUMI

函館生まれ 北海道大学医学部卒。2016年9月よりインドの現地採用で就業。当時よりインドに進出する日系企業向けに、インド現地の話題やビジネスに特化した記事を合計600本以上執筆してきている。2018年1月から東京拠点に移し活動を続ける傍ら、現在は株式会社メルカリのインド人・外国籍エンジニアの就業支援。引き続きインドのマーケティング、調査、人材採用を強みとする。
Kayoreena
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